経済産業省より、「令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)」が発表され、補正予算案の概要が明らかになりました。
そこで、コロナ禍で目玉になった事業再構築補助金は継続されるのか、その他の補助金はどう変わっていくのかを解説します。
1.中小企業省力化投資補助事業(新設)
コロナ禍の大型補助金である「事業再構築補助金」は政府からインドアゴルフやサウナといった特定の事業に偏った申請が多いこと等を理由とした制度の見直しが求められています。そこで、令和5年度補正予算では「中小企業省力化投資補助事業」として予算が計上されています。
なお、イメージとしては、ものづくり補助金に近く、ITやロボット等の人手不足に効果がある汎用性の高い製品を「事務局から提示されるカタログ」に掲載されているものから、選択して導入することで省力化を図るものとされています。補助金額も事業再構築補助金に比べても、かなり少なくなっていることがわかります。
なお、事業再構築補助金については、「必要な見直しを行う」とだけ記載があるため、継続されることと思われますが、内容や制度は大きく変えざるを得ない状況になってくることが予想されます。
引用元:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2023/hosei/pdf/pr.pdf
2.ものづくり補助金(申請類型の変更)
ものづくり補助金は2024年度も継続される見込みですが、申請できる類型に変更があります。
①省力化(オーダーメイド)枠
新たに新設された省力化枠は「デジタル技術を用いた専用設備の導入」が条件となります。導入に際して、これまでのデジタル枠のようにデジタル技術を用いた上で、デジタルに関する取り組みを行なっていれば申請できるというものではなく、生産性向上を目的とした工程の自動化やSlerとの連携が必要になってきます。
②製品・サービス高付加価値化枠
現在公募を行なっている第17次では、上記①の省力化枠のみでの申請となっているため、②③の詳細は明らかになっていません。しかし、類型が「通常類型」と「成長分野進出類型」と2種類あり、本枠がこれまでの申請枠と被ってくるのではないかと予想されます。補助金額も同様にそれぞれ最大1,250万円・2,500万円となっていることがポイントです。
③グローバル枠
本枠も②と同様に、第17次では公募を行っていないため、全容が明らかになってはいませんが、従来のグローバル開拓枠と似てくることが予想されます。しかし、国内製品の海外展開は今後も拡大していかなければなりませんし、補助額が3,000万円とグローバル開拓枠と同額になっています。こちらも18次の公募まで詳細を待ちたいと思います。
なお、ものづくり補助金の詳細はこちらをご覧ください。
3.小規模事業者持続化補助金(変更なし)
小規模事業者持続化補助金については、従来の「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」となっており、インボイス特例の上乗せも同様に行われるようですので、特に変更点はありません。
なお、小規模事業者や個人事業主まで活用できる使いやすい補助金であることがポイントです。チラシや店舗看板、ホームページやweb広告と販路拡大に活用できる対象経費が多い点や個人事業主や創業直後の事業者も活用できるのがメリットです。
引用元:小規模事業者持続化補助金事務局HP
小規模事業者持続化補助金の詳細はこちらをご覧ください。
4.IT導入補助金(変更なし)
IT導入補助金は2024年度も継続して行われる予定となっています。変更点としては、申請枠の「デジタル化基盤導入枠」が廃止となり、新たに「インボイス枠」と「複数社連携IT導入枠」が新設され、インボイス制度に対応するITツールの導入が条件となります。また、これまで「ECサイト」のツールが条件でしたが、ECサイトは廃止され、「会計」「受発注」「決済」の3種類のみが導入ツールとなっている点もポイントです。PC・タブレット・レジ・券売機といったハードウェアも1/2補助される点は変更ありません。
①通常枠
これまでの通常枠と同様に、導入するITツールの業務領域によって、補助金額が変わります。補助率は1/2までとなっておりますので、少額の場合やインボイス枠に当てはまらない場合は通常枠での申請が行えます。また、前年の採択率は、通常枠より「デジタル化基盤導入枠」のほうが高いため、詳細が明らかになってインボイス枠での申請が可能でしたら、インボイス枠での申請もご検討ください。
②複数社連携IT導入枠
10者以上の中小企業・小規模事業者等が連携した、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済を導入する取組等を支援する枠となっております。消費動向等分析費用や事務費・専門家費が計上できる点がポイントになります。
③インボイス枠
インボイス制度に対応済みの「会計」「受発注」「決済ソフト」を導入することが条件となり、PC・タブレット・レジ・券売機といったハードウェア導入費用も対象になります。また、補助下限がないため、小規模事業者等が安価なITツールでも導入しやすくなっている点が特徴です。
④セキュリティ対策推進枠
昨年度と同様に、独立行政法人「情報処理機構(IPA)」が公表する「サイバーセキュリティお助けサービスリスト」に掲載されているセキュリティサービスの利用料が補助対象として支援されます。
引用:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r5/r5_it.pdf
5.事業承継・引継ぎ補助金(変更なし)
事業承継・引継ぎ補助金については、現段階で昨年度と変更はありません。M&A類型や創業者支援類型等の経営革新枠、M&A等の売り手・買い手に対して専門家のデューデリジェンス等の経費が対象にできる専門家活用枠、廃業や再チャレンジを行うための廃業・再チャレンジ枠も継続されます。
引用元:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2023/hosei/pdf/pr.pdf
6.まとめ
2024年度は事業再構築補助金の制度が見直されることが予想されますが、その他の補助金は継続されます。特に、「省力化」や「設備導入による効率化」といった「人手不足」「生産性向上」に対する取り組みが支援されているのが特徴です。
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