業務改善助成金とは?

 生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

 事業場内最低賃金は、事業場で最も低い時間給のこと。
(ただし、業務改善助成金では、雇入れ後3ヶ月を経過した労働者の事業内最低賃金を引き上げる必要がある)

業務改善助成金の補助対象者

 以下のAまたはBの要件をに満たす中小企業(個人事業主を含む)

業種A 資本金または出資額B 常時使用する労働者
小売業(小売業・飲食店など)5000万円以下50人以下
サービス業(物品賃貸業・宿泊業・医療・福祉・複合サービス業など)5000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種(農業・林業・建設業・製造業・運輸業・金融業など)3億円以下300人以下

業務改善助成金の条件

  • 中小企業・小規模事業者であること(個人事業主等は1名以上雇用している場合のみ可能)
  • 事業場内と都道府県の最低賃金の差額が50円以内である
  • 解雇、賃金引下げなどの不交付事由がないこと

業務改善助成金の補助率

 生産性要件とは、付加価値の向上を目的とし、付加価値とは(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)の合計金額が前年と対比して向上しているかで判断を行う。

業務改善助成金の補助金額

 業務改善助成金は、賃金を引き上げる労働者の数・引き上げる金額・事業場の人数によって、助成される上限金額が異なります。賃金を引き上げる労働者の数は1名から申請可能であり、引き上げる金額はそれぞれ30円・45円・60円・90円コースの4つのコースが用意されている。

 例えば、宮城県の場合
 ・宮城県の最低賃金 923円 
 ・A社 パートさん 時給:930円
 ・パートさんの人数:5名
 ・事業場の人数:20人
 ・930円→960円に賃上げ(30円コース)
 とした場合、助成金額は「30円コース」「4〜6人」「事業場規模30人未満の事業者」に該当し、助成上限金額は「100万円」となります。なお、上記の表には「7人以上」と「10人以上」という2つのパターンがあり矛盾が生じています。
 注意書きを見てみると、「10人以上の区分は特例事業者が対象です」と記載があります。

特例事業者とは

 特例事業者とは、以下の2点いずれかに該当する事業者になります。

1、賃金要件
  事業場内最低賃金が950円未満の事業場に係る申請を行う事業者である。業務改善助成金は地域別最低賃金を下回っている事業場は申請ができないため、地域別最低賃金がすでに950円を超えている場合は対象外になります。

2、物価高騰等要件
  物価高騰による影響を受け、前年同期比で売上高総利益率または売上高営業利益率が低下している事業者が対象になります。また、物価高騰等要件に該当する場合は、特例事業者として助成上限額の拡大が受けられるだけでなく、「助成対象経費の拡大」も受けることができます。

 では、業務改善助成金の対象経費と合わせて物価高騰等要件の助成対象経費の拡大も確認していきます。

補助対象経費

 業務改善助成金の対象経費は「生産性向上に資する設備投資であること」を前提に、主に以下のとおりです。
【謝金、旅費、会議費、雑役務費、印刷製本費、原材料費、機械装置等購入費、造作費、人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費、委託費】

 また、物価高騰等要件の該当事業者は、上記の生産性向上に資する設備投資などのうち、

  • 定員7名以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車
  • PC、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入

 が対象に加えられます。自動車やパソコンといった汎用性の高い設備は対象外になる補助金・助成金がとても多いため、これらを対象経費に含められるのはとてもメリットがあります。

申請までのスケジュール

  業務改善助成金の申請スケジュールは以下のとおりです。
・令和6年度の申請締切:令和6年12月27日
・事業完了期限:2025年(令和7年)1月31日まで
 ・導入機器等の納品日
 ・導入機器等の支払完了日(銀行振込の振込日。クレジットカード等の場合は口座の引き落とし日。)
 ・賃金引上げ日(就業規則等の改正日)
 のいずれか遅い日となります。

 申請締切は12月末と余裕がありますが、事業完了期限が2025年1月31日となっているため、お早めの申請をおすすめします。

最後に

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。なお、業務改善助成金の申請は、事業者自らまたは社会保険労務士に限られます。株式会社Daysコンサルティングでは、提携している社労士と連携して申請することか可能です。助成金・補助金のご申請に慣れていない方は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。

 なお、本コラムは厚生労働省業務改善助成金ホームページから引用させていただき、作成しております。
 詳細は下記、厚生労働省業務改善助成金のホームページをご覧ください。

参考:厚生労働省 業務改善助成金ホームページ