中小企業新事業進出促進補助金
12月25日経済産業省から「中小企業新事業進出促進補助金」の情報が発表されました。今回は、「中小企業新事業進出促進補助金」(以下、新事業進出促進補助金)の概要や申請に係るポイントを解説していきます。これから新規事業をご検討中の事業者様は最後までご覧ください。
新事業進出促進補助金の概要
新事業進出促進補助金は、「⼈⼿不⾜や賃上げといった昨今の経済社会の変化の中で、中⼩企業等が成⻑する過程においては、既存事業の拡⼤に加え、新たな事業の柱となる新事業への挑戦が重要。既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・⾼付加価値事業への進出を後押しすることで、中⼩企業等が企業規模の拡⼤・付加価値向上を通じた⽣産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを⽬的とする」と事業目的で示されています。(引用:中小企業庁 中小企業新事業進出補助金)
主に設備投資は「建物費」「機械設備」「システム開発」「広告宣伝・販売促進費」が対象となります。設備投資を行い、生産性の向上や賃金アップを促すために、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業に係る費用を補助してもらえます。
新事業進出促進補助金は、令和6年度まで公募されていた事業再構築補助金の後継として、これまでの公募とは制度が大きく変更され、より賃上げの要件が加わった大型補助金となります。また、新事業進出促進補助金は、現在のところ新たな予算措置はなく、既存基金内での対応となることから、予算が無くなり次第終了されることが見込まれます。申請を検討中の方は早めにご申請をされることをおすすめします。
引用元:中小企業庁 新事業進出促進補助金ページ
新事業進出促進補助金の要件
新事業進出促進補助金は、申請すれば誰でも受け取ることができる補助金ではありません。中小企業・小規模事業者等・個人事業主が既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ転換することを前提として、以下の基本要件があります。
- 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加させること
付加価値額とは、一般的に「営業利益+減価償却費+人件費(役員報酬・給与・賃金・社会保険料等)」の合計額を指します。営業利益が減少しても、人件費が増加していれば要件を達成することが可能です。ものづくり補助金では、年平均成長率が3.0%のため、ものづくり補助金以上に厳しい要件となります。 - 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が①事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または②給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上の増加 いずれかを満たす必要があります。最低賃金の年平均成長率の算出方法は、今後公募要領の発表に合わせて明らかになっていくことと思われます。給与支給総額は、人件費とは異なり、役員報酬や給与・賃金のみの算定となります(社会保険料等は含まない)。ので、注意が必要です。
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
各都道府県で改定されている最低賃金に+30円を上乗せした金額に水準を合わせることが必要になります。よくある間違いとして、「会社単位」と認識されている方がいらっしゃいますが、ものづくり補助金は、「事業を実施する事業所」の最低賃金+30円を達成できれば申請が可能です。
令和6年度10月時点の東北地方の最低賃金および+30円の金額は以下の通りです。
最低賃金 | +30円の金額 | |
青森県 | 953円 | 983円 |
岩手県 | 952円 | 982円 |
宮城県 | 973円 | 1,003円 |
秋田県 | 951円 | 981円 |
山形県 | 955円 | 985円 |
福島県 | 955円 | 985円 |
④. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(予定:従業員21名以上の場合のみ)
厚生労働省が発表している政策から抜粋します。(以下抜粋)
「次世代育成支援対策推進法に基づき、企業は、従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっており、常時雇用する従業員が101人以上の企業は、この行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務とされています。(100人以下の企業は努力義務)
一般事業主行動計画とは、事業主が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、①計画期間②目標③目標を達成するための対策の内容と実施時期を具体的に盛り込み策定するものです。」(厚生労働省HP引用)
となります。きちんと作成すれば、中小企業・小規模事業者も認定を受けることができます。
新事業進出促進補助金の申請枠・補助金額
新事業進出促進補助金では、現段階で申請枠に関する情報はありません(2024年12月30日現在)。しかし、これまでの事業再構築補助金の申請枠を刷新し、新たに申請枠が設けられる可能性が高いです。
申請枠 | 通常枠(仮) |
要件 | 事業者にとって新製品または新サービスを新規顧客に提供する新たな挑戦であること |
補助上限額 | 従業員数20人以下:2,500万円(3,000万円) 従業員数21人〜50人以下:4,000万円(5,000万円) 従業員数51人〜100人:5,500万円(7,000万円) 従業員数101人以上:7,000万円(9,000万円) ※補助下限750万円 ※⼤幅賃上げ特例適⽤事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃⾦+50円、②給与⽀給総額+6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の⾦額は特例適⽤後の上限額。) |
補助率 | 1/2 |
補助対象経費 | 建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導⼊費、 専⾨家経費、運搬費、クラウドサービス利⽤費、外注費、 知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
新事業進出促進補助金の申請手順
新事業進出促進補助金は、公募開始から状況報告まで以下の通り手続きを行います。
新事業進出促進補助金のような大型の補助金は、ものづくり補助金と同様に、もちろん交付候補決定(採択)を受けることも大変ですが、事業を始めるための準備(交付申請)や事業が終わった後の報告(実績報告)が資料も膨大であり、複雑なため苦労する事業者様が多いです。
補助金ありきの事業ではなく、事業計画とスケジュールを綿密に考えてから申請されることをおすすめします。弊社でも、せっかく採択となったのに、金融機関から融資を受けられずに資金不足となった事業者様やスケジュールが間に合わなくなり補助金が受け取れなくなった事業者様がいます。まずはスケジュールや融資のご相談でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
新事業進出促進補助金の事業で使用した資料や証拠書類は必ず保管し、捨てないように取っておくことをおすすめします。資料を提出する実績報告では、膨大な資料の提出が求められたり、提出した資料では要件を満たさないということもあるため、せっかく採択されたのに、補助金が受け取れなかったということがないように資料をきちんと保管するように注意しましょう。
まとめ
新事業進出促進補助金は申請できる対象者が多いですが、直近の採択率は、26%程度と非常に低く、かつ、その中には士業・民間コンサルティング会社も含まれており、非常に厳しい戦いだということがわかります。
不採択の場合、何回でも申請することは可能ですが、事業実施ができない(進まない)ことや事業実施期限が決まっていることから、より初回で採択されるように申請書を作り込まなければなりません。弊社ではこれまで30件以上3億円超の採択実績がございます。
もし、ご自身で計画書の作成が難しい場合は、当社では補助金の申請サポートを行っておりますので、お気軽にご連絡お待ちしております。また、弊社では、宮城県・福島県・岩手県・山形県・秋田県・青森県の事業者様は訪問でのサポートも可能です。申請やパソコン作業等に不安がある方でも、ご相談だけでも安心してお問い合わせくださいませ。
また、新事業進出即促進補助金は、1年を通して公募をされる補助金ではありません。タイムリーな公募情報が知りたい方は、下記の弊社公式LINEをご登録いただけますと、公募開始の情報をタイムリーに受け取ることができます。もちろん無料で登録が可能です。
その他のサービス
新事業進出促進補助金の申請支援は当社までお気軽にお問い合わせください。
本記事は中小企業庁のホームページを参考に作成しております。公募時期や詳細につきましては、ご確認をお願いいたします。