なぜ資金繰りが重要なのか?
損益計算とは何が違うのか?
こんにちわ。Daysコンサルティングです。
本日は経営者の悩みの種である「お金」について、資金繰りの重要性をお伝えさせていただきます。
みなさんは「資金繰り」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?財務諸表、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった言葉は聞いたことがありますが、資金繰り表という言葉を耳にする機会はあまりないかもしれません。
そしてもう1つ。「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本国内の黒字倒産の割合は実に「50%」約半数に上ります。
黒字倒産の理由に、人材不足・後継者不足といった要因もありますが、資金繰りを理由に倒産するケースもあります。
なぜ、黒字なのに倒産してしまうの?利益はあったんじゃないの?そう思われる方も多いかと思います。ではなぜ黒字として利益が出ているのにも関わらず、倒産してしまうのか。経営をしていく上で資金繰りというのもはとても重要な考え方です。まず資金繰りの意味は、企業の収入と支出を管理して、特に現預金等の収支の過不足を把握することです。資金繰りについて、ケースを用いてご説明します。
ケース1:売上が即日入金される場合
例えば、4月の売上高が100円・そのための仕入に60円かかった場合はプラス40円の収益になります。同様に5月の売上高が100円・そのための仕入に60円かかった場合は累計プラス80円の収益になります。
この場合、損益計算書上も資金繰り上もプラス80円となり、このような状況であれば問題はなさそうですが、みなさまのサービスは、売上と同時に全て現金でいただけるものがでしょうか?
例えば、クレジットカードや一部のキャッシュレス決済など、売上の入金が翌月になってしまうケースはありませんか?その場合をケース2でご説明します。
ケース2:売上が翌月に入金される場合
例えば、4月の売上高が100円が翌月に入金されます。そのための仕入に60円かかった場合は、損益計算上はプラス40円ですが、資金繰り上は売上のお金がありませんから、マイナス60円になります。現金がマイナスになっているためキャッシュアウトとなり、つまり倒産です。しかし、損益上は黒字で利益が出ています。
このように、必ずしも売上が計上できていれば良いわけではなく、現預金の流れを把握しておくことが重要です。そして、お金の流れを把握した後に、資金繰りを改善する方法を次でご紹介します。
資金繰りを改善する方法
資金繰りを改善する方法① 資金繰り表を作成する
まずは、お金の流れをきちんと把握するために資金繰り表を作成します。会計ソフトの入力や帳簿をつけるのは、税理士さんに丸投げ、あるいは決算・確定申告時にまとめて1回という方も多いのではないでしょうか。税理士さんにもよりますが、資金繰り表までを作成してくれるところは少なく、また資金繰りはあくまで未来のお金の流れを予測する必要があるため、経営者自身にしかわかりません。
最初は1ヶ月分を家計簿をつける感覚で会計ソフトや帳簿をもとに、現預金の流れを記載します。参考までに日本政策金融公庫様で出しているフォーマットを貼付しておきます。こちらからダウンロードしてご使用いただます。
資金繰り表を作成する際の注意点として、どうしても希望的観測が入ってしまい、売上は多めに・支出は少なめに書いてしまうと思います。しかし、金融機関に提出する予定がある方は別にして、資金繰り表を作成する目的は自社の資金の流れを把握してキャッシュアウトを防ぐためです。他の人に見せるものではありませんから、売上は厳しく・支出は多めに予測されることをおすすめします。
資金繰りを改善する方法② 入金サイクルを早めて出金サイクルを遅くする
資金繰り表を作成したら、自社のお金の流れが見えてきます。もし、どこかでキャッシュアウトしてしまう・すでに資金繰りに苦しんでいる場合は早急に手を打たなければなりません。すぐに対応できる施策として、「入金サイクルを早めて出金サイクルを遅くするように交渉」をします。
売上の場合、クレジットカードやキャッシュレス決済の入金サイクルを早めることはほぼ不可能かと思います。そのため、例えば「現金でお支払いの方に特典をつける」「入金サイクルが早い決済方法を推奨する」といった即日入金ができるような仕組みを作ります。
仕入の場合、仕入れ先等へ支払いサイクルを遅らせてもらうよう交渉することが考えられますが、遅延に繋がってしまえば取引先の信用を損なうだけでなく、最悪訴訟されてしまうリスクも検討しておかなければなりません。
また、金融機関へ返済を待っていただくいわゆる「リスケ」も方法の1つですが、こちらも同様に金融機関の信用を損なってしまい、次回の融資等に応じていただけない可能性がある点に注意が必要です。
取引先や金融機関への交渉は十分に注意して行うようにしてください。
資金繰りを改善する方法③ 商品別の利益率を見直す
資金繰りに困窮しないために、資金繰り表を早めに作成して余裕を持った状態で資金繰りを考えていくのがベストです。資金繰りに困窮するということは、売上の減少や物価高騰による利益率の低下などが考えられますが、そうならないように対策が必要です。
その1つとして、商品別の利益率を見直す必要があります。資金繰り表を作成していない事業者様のほとんどが「自社の損益分岐点」を把握できていません。そのため、どの商品・サービスがどのくらい利益を生み出せているのか把握できず、最悪の場合は売っても売っても利益が出ない商品に力を入れて販売している可能性もあります。
まずは、自社あるいは自社の事業ごとに損益分岐点を把握し、次に個別の商品・サービス別に利益率を把握することで自社はどの商品に注力をしなければいけないかが、「経営者の勘」ではなく、「数字をもとにした根拠」として取り組むことができます。
原価計算や固定費から考えるMQ会計をもとに経営を考えることが売上・利益を変えていくことができます。経営者様・企業内研修でMQ会計について学びたい場合はこちらをご参照ください。
まとめ
経営者の最大の悩みあるお金について、資金繰りをもとにご紹介させていただきました。しかし、自分で作るのが大変・どう考えたら良いかわからない方や利益を高めるための施策を知りたいという方も多いかと思います。
そんな時はお気軽に当社までご相談いただければと存じます。一緒に資金繰り表を作成し、利益向上に向けた施策を一緒に考え実行させていただきます。
少しでも本記事が事業者様の事業にお役立てできれば幸いです。また、資金繰り改善のために活用できる各補助金や税制優遇措置に関する詳細は下記をご覧ください。