1on1が続かない、形だけになる原因の多くは、1on1が「上司が話す場」になっていることと、忙しさで後回しにされることです。1on1は、部下が話す時間です。月に1回15分からでよいので、予定に組み込んで続けることが何より大切です。

この記事では、従業員30〜100名ほどの小さな会社で1on1が形だけになる理由と、社長や管理職が押さえたい進め方を紹介します。

1on1とは?評価面談との違い

1on1とは、上司と部下が1対1で、定期的に短い時間話す場のことです。仕事の進み具合だけでなく、悩みや困りごと、これからやりたいことなど、部下が話したいことを中心に話します。

評価面談と混同されやすいのですが、目的が違います。

項目1on1評価面談
目的部下の困りごとや考えを聞き、成長を支える一定期間の評価を伝え、次の目標を決める
頻度月1回〜隔週など、短い間隔半年や1年に1回
話す中心部下上司
時間15〜30分ほど30分〜1時間ほど

評価面談だけでは、次に話すまでに半年以上空いてしまいます。その間に生まれた不満や迷いを早めに拾うのが、1on1の役割です。

中小企業で1on1が形だけになる4つの理由

中小企業で1on1が形だけになる主な理由は、上司が話しすぎる、忙しくて後回しになる、本音が言い合えない、話したことが次につながらない、の4つです。

Daysコンサルティングが経営支援の現場で集めた「100の事実」でも、伸びている会社では1on1などで定期的に話す場がありました。一方、止まっている会社では「指示しっぱなし」「任せっぱなし」の状態が目立ちました。それに加え、指示しっぱなし・任せっぱなしなのに、いきなり「あれ、どうなった?」と確認されるのは部下にとって非常にストレスになります。

社長や上司が話す場になっている

最も多い原因が、面談が「社長が意見を言う場」になっているケースです。現場でも、部下が社長の「正解」を探しながら話していたり、逆に愚痴を聞くだけの時間になっていたりする場面をよく見ます。

社長としては、部下のために良かれと思ってアドバイスをしてあげているつもりですが、部下からしたらそれは面談ではなく指導になります。

上司が話す時間が長いと、部下は「話してもしかたない」と感じ始めます。目安として、部下が7割、上司が3割くらいで話すのが理想です。

忙しくて後回しになる

「忙しい」が口ぐせになっている会社では、1on1は真っ先に削られます。急ぎの仕事ではないため、一度延期するとそのまま立ち消えになりがちです。

ただ、忙しい会社ほど、問題に気づくのが遅れて、あとで大きな手間がかかります。現場でも、定例会議まで報告が上がらず、悪い知らせほど遅れて届く会社を多く見てきました。

辞められるのが怖くて、本音も注意も言えない

社員に辞められるのを恐れて、社長や管理職が注意や指摘をできない。これも現場でよく見る状態です。社員に嫌われたくないという気持ちから、伝えるべきことを回りくどく言い、結局伝わっていないこともあります。

うまくいっている会社では、伝え方に気をつけながら、良くないことはきちんと伝えています。1on1は、日ごろの信頼関係をつくることで、言いにくいことも言い合える土台になります。

話したことが次につながらない

1on1で話しても、記録がなく、次の1on1で振り返らなければ、ただの雑談で終わります。現場でも、社員ごとの目標を決めていないため振り返りもなく、上司と本人の認識がずれたままの会社を見てきました。

「話しても何も変わらない」と感じると、部下は次第に本音を話さなくなります。

中小企業の1on1の進め方

中小企業の1on1は、「短く、定期的に、部下が話す」を守れば十分です。立派な制度をつくるより、続けられる形で始めることを優先してください。

頻度と時間は「月1回、15〜30分」から

最初から毎週やろうとすると続きません。まずは月1回、15〜30分で十分です。慣れてきたら、新人や異動したばかりの人など、必要な人だけ隔週にするといった調整をします。

社長が全員と行うのは現実的ではありません。従業員が30名を超えていれば、社長は管理職と、管理職はその部下と行う形が基本です。

話す順番を決めておく

毎回同じ流れで進めると、上司も部下も準備しやすくなります。

  1. 前回決めたことの振り返り(約5分)
  2. 部下が話したいこと(約10分)
  3. 次回までにやることを一緒に決める(約5分)

「部下が話したいこと」が特にない場合は、下のテーマの例から1つ選んで聞きます。

上司が使える質問

質問は、「はい」「いいえ」で終わらない聞き方にすると、話が広がります。

  • この1か月で、うまくいったことは何ですか
  • 今、いちばん時間を取られている仕事は何ですか
  • 自分の仕事で、もっとこうしたいと思うことはありますか
  • 私(上司)に手伝えることはありますか

答えをすぐに評価したり、助言したりするのは控えましょう。まずは最後まで聞き、「たとえば?」と具体的な場面を聞くと、本音が出やすくなります。

記録を残し、次回につなげる

話したことと、次回までにやることを2〜3行で構わないので残しておきます。次の1on1の最初にそれを確認するだけで、「話したことが動いている」と部下が感じられます。

1on1で話すテーマの例

1on1で何を話せばよいかわからない場合は、次のテーマから1つ選ぶと始めやすくなります。

テーマ聞き方の例
仕事の進み具合今、止まっていることはありますか
困りごと・悩み最近、やりにくいと感じた場面はありましたか
職場の人間関係チームで、もっとこうなればよいと思うことは
成長・学び次に身につけたいことは何ですか
これからのキャリア3年後、どんな仕事をしていたいですか
会社への意見会社の仕組みで、変えた方がよいと思うことは

特にキャリアの話は、中小企業では後回しにされがちです。現場でも、本人の将来像を対話で一緒に考えている会社では、社員が自分から動きやすくなっていました。反対に、理由も伝えずに配置や職種を変えると、納得できずに意欲を落とす例も見てきました。

1on1を続けるための仕組み

1on1を続けるいちばんのコツは、個人のやる気に頼らず、会社の予定として先に決めてしまうことです。

  • 日程を先に押さえる:「毎月第2火曜の夕方」のように、年間の予定に入れておきます。
  • 延期はしても中止はしない:忙しいときは日をずらしてもよいことにし、その月のうちに必ず行います。
  • 管理職に任せっぱなしにしない:管理職が部下との1on1で困っていることを、社長との1on1で話せるようにします。
  • 評価制度とつなげる:1on1で決めた目標や振り返りを、半年に1回の評価面談で使えるようにしておくと、評価への納得感が高まります。

評価制度が形だけになっている場合は、人事評価制度が運用されないのはなぜ?中小企業でよくある原因と立て直し方もあわせてご覧ください。

社外の人が面談に入るという選択肢

社長や上司には言いにくいことも、社外の人になら話せるという社員は少なくありません。従業員が少なく、社長と社員の距離が近い会社ほど、その傾向は強くなります。

そこで、社外の人が定期的に社員と面談したり、管理職の1on1の相談相手になったりするやり方もあります。人事担当者がいない会社では、人事担当者不在の中小企業に起こる問題で紹介したように、こうした対話の場が不足しがちです。

まとめ

中小企業の1on1が形だけになるのは、上司や部下のやる気の問題ではありません。話す場の作り方と、続ける仕組みの問題です。

部下が話す時間にする。月1回、15〜30分から始める。話す順番を決め、記録を残して次回につなげる。そして、会社の予定として先に日程を押さえる。まずはここから始めてみてください。

AIで業務を効率化できる時代になっても、組織を前に進めるのは結局、人です。株式会社Daysコンサルティングは、経営理念と事業戦略から逆算して、採用・育成・評価・面談の仕組みを一緒につくり、現場で実際に回るところまで支えています。管理職の1on1の相談相手や、社員との面談も、Days式 社外人事部の支援に含まれます。

よくある質問

Q1. 1on1はどのくらいの頻度で行えばよいですか?

まずは月1回、15〜30分から始めるのがおすすめです。毎週など頻度を高くしすぎると、忙しい時期に続かなくなります。新人や異動したばかりの人など、必要な人だけ頻度を上げるとよいでしょう。

Q2. 1on1で何を話せばよいかわかりません。

部下が話したいことを優先します。特にない場合は、仕事の進み具合、困りごと、成長、キャリアなどのテーマから1つ選んで聞くと、話が始めやすくなります。

Q3. 社長が全員と1on1を行うべきですか?

従業員が30名を超えている場合、社長が全員と行うのは現実的ではありません。社長は管理職と、管理職はその部下と行う形が基本です。ただし、管理職に任せっぱなしにせず、部下との1on1で困っていることを社長が聞く場をつくりましょう。

Q4. 1on1と評価面談は分けた方がよいですか?

分けるのがおすすめです。1on1で評価の話ばかりをすると、部下は身構えて本音を話しにくくなります。ただ、1on1で話した目標や振り返りを評価面談の材料にすると、評価への納得感が高まります。


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